痔ろう
痔ろうとは
肛門には肛門陰窩と呼ばれる穴が放射状に並んでいます。ここから粘液を分泌することで適度な湿り気を保ち、便の通りをスムーズにする働きがあります。
この穴から細菌が侵入して炎症を起こすと膿んでしまうことがあり、この状態を肛門周囲膿瘍といいます。溜まった膿は自然に排出されることもありますが、場合によっては切開して排膿する必要があります。
これを繰り返すと、細菌の入り込む穴(1次口)と、そこから膿-皮膚に至る道筋(瘻管)、膿が出る出口(2次口)が出来上がってトンネルのようになってしまうことがあり、この状態を痔ろうと呼びます。
治療について
痔ろうは、いったん出来上がってしまうと自然に治癒することはなく、手術が必要です。
放置するとトンネルが枝分かれして複雑になる事があります(複雑痔ろう)。
また、複雑化した状態でさらに長期に放置すると、炎症を背景に「がん」が発生することもあり(痔ろうがん)、完成した痔ろうを長期間放置することはあまりお勧めできません。
手術方法は何種類かあり、痔ろうの状態や発生した場所によって適切な術式を選択します。
主な手術方法
- 切開解放術式
- 痔ろうの入り口、ろう管、出口を全て切開して、開放する術式です。
肛門へのダメージが大きくなりますが、根治性は高い術式です。 - シートン法
- ろう管にゴムを通す術式です。
通したゴムを少しずつ締めて、時間をかけて切開していく術式です。
時間がかかり煩雑ですが、切開開放術式に比べて肛門へのダメージは少ない術式です。 - SIFT-IS
- ろう管を入口付近で離断してくり抜く術式です。
括約筋や肛門上皮を温存できる術式ですが、ろう管の状態によって適応は限られます。
根治性を担保しつつ、肛門機能を温存しなければならないため、専門医での診察・治療をお勧めします。特に複雑痔ろうでは手術の侵襲が大きくなるため、より専門的で高度な技術が必要となります。
手術はごく軽いケースを除き、入院が必要になります。
本院(西新井大腸肛門科)にて対応させていただきます。